資産運用コラム

COLUMN

消費税増税による賃貸経営・不動産投資への影響とは?

不動産投資で得た賃貸収入は、そのまま税金がかかるわけではありません。
まずは不動産所得の計算方法を知りましょう。

不動産投資は副業でも確定申告の対象に

不動産投資は副業でも確定申告の対象に

不動産投資を行って得た賃貸収入は、そこから必要経費を差し引いて「不動産所得」となります。
サラリーマンや公務員など本業のかたわら副業として不動産投資を行っている場合は、給与所得以外の所得が20万円を超える場合、また給与所得がない場合は所得の合計額が38万円を超える場合は、不動産所得とともに確定申告が必要になります。

不動産所得の計算方法

不動産所得の計算方法

不動産所得は、賃貸収入から必要経費を差し引いて計算します。
さっそく、それぞれどのようなものそれぞれが該当するか見ていきましょう。

賃貸収入とは

賃貸収入は文字どおり、賃貸業で受け取った収入のことです。
期間は1月1日から12月31日の間で計算します。
では家賃を翌月20日に口座振替するといった場合、1月20日に入金される家賃(前月分の家賃)は前年、当年どちらの収入になるのでしょう。
この場合、毎年同じように経理を行うのであれば、前年の収入に入れることが可能です。また家賃以外の敷金や保証金といった借り主が退去する際に返還する可能性があるものは、返還しないことが確定した段階で収入に計上することとなります。

必要経費とは

必要経費とは、賃貸収入を得るために支出した費用になります。
例えば管理会社に支払うコスト、賃貸収入を計算するために使っている会計ソフトの保守料など、不動産賃貸業に必要となる経費が広く該当します。
この他にも、建物の劣化に伴い計上する経費として減価償却費や、不動産賃貸業の規模が大きいものに限って経費にできるものがあります。

減価償却費とは

減価償却費とは、自身が購入したアパートやマンションの取得費を経費にする方法です。アパートやマンションのように長期にわたり収入を生むものは、その取得費を一回で経費にすることはできず、法定耐用年数に基づく償却率をかけて、毎年定額で経費にします。法定耐用年数は、木造住宅であれば22年、鉄筋コンクリート住宅は47年など、建物の材質で変わります。
あくまで会計上の基準ですから、この年数を超えて使用することを禁止するものではありません。
また土地の取得費は経費にすることができません。土地は建物と違い時間の経過によって価値が減らないため、減価償却ができないからです。

事業的規模とそうでない賃貸業の違い

事業的規模とそうでない賃貸業の違い

不動産所得は、その貸付業が事業的規模として行われているかどうかで、所得金額の計算方法に違いがあります。事業的規模として行われているかどうかは、国税庁の基準で、以下のいずれか1つにあてはまる場合です。

  • 貸付けている室数がおおむね10室以上
  • 独立した住宅の貸付けであればおおむね5棟以上

事業的規模として行われている場合、不動産所得の計算は次のように変わります。

青色申告特別控除65万円

青色申告特別控除とは、青色申告(より信頼性の高い会計方法を行う申告)を行うことで不動産所得から差し引くことができる控除額をいいます。
実際に経費を支出せずに所得を減らせる、かなりお得な制度です。
事業的規模かどうかに関わらず青色申告を行うことはできますが、その特典である青色申告特別控除の金額は、事業的規模の場合で65万円、そうでなければ10万円になります。

家族への給与を経費にできる

個人事業の場合、家族に支払った給与は経費にすることができません。
ただし事業所得に分類される事業では、「事業専従者」であることを要件にその一部を経費にすることができ、さらに「青色事業専従者」であれば税務署に届け出た金額の範囲内で経費にすることができます。
事業的規模でない不動産賃貸業では、いずれも経費として認められませんが、事業的規模で行う不動産賃貸業になると、「事業専従者」や「青色事業専従者」に支払った給与は、上記の扱いを受けることが可能です。
家族に支払う給与は、結局家計に還ってくるものですから、こちらも積極的に適用した方が絶対にお得です。

資産損失を全額必要経費にできる

アパートの老朽化などで賃貸用の建物を取壊すなど、何らかの理由で建物を除去することとなった場合、取り壊す建物の残存価格は資産損失として計上されます。
資産損失は必要経費として、その年の賃貸収入と相殺します。
しかし建物の残存価格が大きいと、賃貸収入とは相殺しきれない場合があります。
もし事業的規模であれば、相殺できなかった部分をマイナスとして計上することができ、その年の給与所得など一定の所得と損益通算することが可能です。それでも控除しきれなければ、青色申告者の場合、翌年以降3年間繰り越すこともできます。
しかし、事業的規模でなければ、相殺できなかったマイナスの部分は切り捨てとなり、給与所得などから生じる税金は支払わなければなりません。もちろん翌年以降の所得から控除することも不可です。

まとめ

不動産投資において大切なのは節税そのものではなく自身が運用できる金額の中から、最も採算をとることができる方法を考えることにあります。
しかし、税制面、利回りの両面からこれを総合的に考えることは、1人ではとても大変なことです。
そこで不動産投資をはじめるなら、不動産の専門家に相談することがおすすめです。過去のデータや収益、節税のシミュレーションで、ベストな投資方法を一緒に考えてくれます。

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