Column成年後見制度について 生前の財産管理や相続に備える方法

成年後見制度について 生前の財産管理や相続に備える方法

2018.12.07

成年後見制度について
生前の財産管理や相続に備える方法

  • ・財産管理が不安になってきたので成年後見制度について知りたい
  • ・成年後見制度にはどのような種類があるの?
  • ・成年後見制度の利用方法は?

認知症にかかった方の財産管理として、将来自分の判断能力が低下したときの財産管理が不安なとき、成年後見制度を利用すると大変役立ちます。
今回は、成年後見制度の種類や活用方法をご紹介します。

2種類の成年後見制度

成年後見制度とは、本人の判断能力が不十分になったときに、第三者が代わって財産管理や身上監護をするための制度です。
たとえば認知症で自分でもどのような財産があるかわからなくなったり日常生活で必要なこともできなくなったりしたときに、後見人が選任されて本人の代わりに財産を管理したり、生活に必要なサポート体制を整えたりします。

成年後見制度には、以下の2種類があります。

任意後見制度
任意後見制度とは、本人が自分で後見人を選んで財産管理をしてもらう方法です。

法定後見制度
法定後見制度は、本人の判断能力が低下したときに、裁判所が後見人を選んで本人の財産を管理させる制度です。また法定後見制度には、「成年後見人」「保佐人」「補助人」の3種類があります。

成年後見制度

以下で、それぞれについてもう少し詳しく見ていきましょう。

任意後見制度

任意後見制度は、本人の判断能力があるうちに、本人が希望する相手と「任意後見契約」を締結し、将来実際に判断能力が低下したときにその人に財産管理してもらう方法です。
つまり任意後見制度の場合には、本人が元気なうちに、自分で希望する後見人を選ぶことができます。

また、任意後見制度では、後見人に与える権限内容を契約によって個別に設定できます。たとえば「自宅を売却して〇〇の介護施設に入居させてほしい」などと取り決めておくことなどが可能です。

任意後見制度を利用する場合には、まずは本人と後見人候補者が任意後見契約を締結し、それを公正証書にして登記します。

将来本人の判断能力が低下したら、後見人の候補者などが家庭裁判所に「任意後見監督人」の選任を申し立てます。監督人が選任されたら、任意後見人による財産管理が始まります。

法定後見制度

法定後見制度は、本人の判断能力が実際に低下した後に、親族などの申立によって家庭裁判所が後見人を選任する制度です。

法定後見制度の場合には、すでに本人の判断能力が低下していることが前提です。
また本人が自分で後見人を選ぶことができず、裁判所が適切な人を選任します。

親族が後見人になれるケースもありますが、親族間に争いがあるなどトラブルが予想される場合には、弁護士や司法書士などの専門家が選任されます。

法定後見制度で選任された後見人には、法律によって与えられる強い権限が認められます。法定後見制度を利用したい場合には、診断書や戸籍謄本などの資料を揃えて、本人の住所地を管轄する家庭裁判所で「後見開始の申立」を行う必要があります。

診断書を見たり調査を行ったりした結果、裁判所が「後見人が必要な状態」と判断したら、後見人を選任してその人による財産管理が開始します。

法定後見制度の種類

法定後見制度には、以下の3種類があります。

成年後見人

成年後見人は、もっとも権限の強い後見人です。
本人の判断能力が常にほとんどあるいはまったく失われているケースで選任されます。成年後見人がついた場合には、成年後見人が全面的に本人の財産を預かって管理します。

本人が単独で法律行為(売買など)をすることはできず、本人がした行為については、成年後見人に「取消権」が認められます。たとえば本人が騙されて高額な商品を買わされたとしても、成年後見人が取り消して代金を返してもらうことが可能です。

また成年後見人には本人の代理権があるので、契約などは成年後見人が代わりに行います。たとえば本人が介護施設に入所する必要があれば、成年後見人が単独で契約できます。

ただし、食べ物を買うなど日常生活に必要な範囲であれば、本人が一人でもすることが認められています。成年後見開始の申立をするときには、被後見人本人の同意は不要です。

保佐人

保佐人は、成年後見人をつけるほどではないけれども、判断能力が著しく失われているので保護の必要性が高いケースで選任されます。

たとえば日常生活だけなら何とか一人でも送れるけれど、不動産などの重要な財産の売買や管理などはできない程度の状態です。

保佐人は、本人のする重要な法律行為について「同意権」を持っています。つまり本人が民法で定める一定の重要な法律行為をするときには、保佐人が同意しないと効果が発生しません。
同意を要するのは、たとえば借金の元本の受取や借金、不動産の売却、贈与などの行為です。

また裁判所の許可を得て、保佐人に一定の重要な行為について代理権を与えることも可能です。保佐人選任の申立をするときにも、被保佐人本人の同意は不要です。

補助人

補助人は、判断能力が不十分なときに、状況に応じてサポートを行うために選任されます。日常生活は一人で送れるけれど、時折判断能力が不十分なので、重要な財産処分などの場面において一人で対応するのが不安な場合などに選任されます。

補助人には、当然に認められている権限がありません。一定の重要な法律行為について、必要に応じて個別に権限を与える必要があります。
たとえばマンションを売却するときに補助人を選任したら、不動産の売却について個別に補助人に同意権や代理権を与えるなどです。借金をするときや贈与をするときなどでも同じです。

補助人の場合、まだ本人に判断能力があるので、補助人選任の申立をする際、補助人本人の同意が必要となります。

法定後見制度が終了する場合

法定後見制度を利用すると、基本的に本人が死亡するまで後見人による財産管理が継続されます。
ただし本人の判断能力が回復して後見の必要がなくなった場合には、後見を取り消してもらうことができます。

当初は成年後見人を選任したけれども、判断能力が回復してきたので保佐や補助に変更される例もあります。
反対に、当初は保佐人で足りていたけれど、認知症が進行して成年後見人が必要になるケースも多いです。

このように、法定後見制度では、状況に応じて必要な種類の後見人が選任されます。高齢になって判断能力が低下してきた人が周囲にいたり、自分自身の財産管理が不安だったりする場合、後見制度を上手に活用してみて下さい。

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