Column消費税増税による賃貸経営・不動産投資への影響とは?

消費税増税による賃貸経営・不動産投資への影響とは?

2018.12.21

消費税増税による賃貸経営・不動産投資への影響とは?

2019年、消費税が8%から10%へ増税されようとしています。
このことで、不動産の賃貸経営や不動産投資にどのような影響が及ぶのでしょうか?
そもそも不動産投資や賃貸経営において、どのような費用に消費税が課税されているのか、正確に理解しておきましょう。

今回は、消費税増税が不動産投資に与える影響ととるべき対処方法について、解説します。

消費税の増税時期について

消費税の増税は以前から予定されていましたが数回延期が続いており、いまだ実現していません。まずは「いつから」増税が適用されるのか、押さえておきましょう。

現時点(2018年12月)においては、2019年10月からの増税が予定されています。実現した場合、2019年10月1日以降は消費税が現行の8%から10%へと値上げされます。

以下で、消費税が増税されると不動産投資の各種の費用や収益にどういった影響が及ぶのか、順番にみていきましょう。

不動産の購入に対する影響

不動産投資をするときには、不動産を「購入」する機会があるものです。
このとき、消費税は課税されるのでしょうか?

土地は非課税

不動産への消費税課税の有無は、土地と建物とで異なります。
まず、土地は非課税です。土地は使うことによって消費するものではなく、消費税の課税対象となる「消費財」に該当しないためです。

建物はケースによって異なる

土地とは異なり建物は「消費財」の1種ですが、誰から購入するかによって消費税が課税されるかどうかの取り扱いが異なります。

不動産業者から購入する場合、「事業者」からの購入となるので消費税がかかります。そこで新築物件を購入する場合には消費税増税による影響を受けます。

一方個人から中古で購入する場合、相手が事業者ではないので消費税はかかりません。そこで消費税増税によって代金が増額することはなく、影響はありません。
ただし中古であっても売主が不動産業者であれば消費税がかかるので、増税によって購入代金が上がる可能性があります。

このことを考えると、不動産業者から不動産を購入するならば、2019年10月になるまでに売買契約を締結し、引き渡しを終えて代金を支払っておくのが良いでしょう。

不動産の建築費用に対する影響

建築費用には消費税がかかる

不動産投資を進める際、新規に賃貸アパートなどを「建築」するケースもあります。

このときの建築費用には、消費税がかかります。建築業者が「事業者」に該当するからです。そこで2019年10月以降に不動産を建築すると、これまでよりも高額な費用がかかることとなります。建築費用はもともと高額なので、消費税が2%上がったら影響も大きくなるでしょう。

建築時期が2018年10月1日をまたぐ場合の経過措置

ただし建築には時間がかかるので、請負契約締結時には消費税が8%でも建物完成、引き渡し時(代金支払時)には消費税が10%になっている可能性があります。
この場合、8%か10%か、どちらの税率が適用されるのでしょうか?

このように建築時期が2019年10月1日をまたいでいる場合、「経過措置」が適用されます。

今回の経過措置では、消費税が増税される2019年10月の半年前である2019年3月31日までに請負契約が締結された場合には、引き渡しが2019年10月以降となっても8%の消費税が適用されることになっています。

これに対し契約が2019年4月以降になると、建築費用には10%の消費税がかかります。そこで、なるべく安く建物を建築したい場合には、2019年3月31日までに注文して契約してしまうのが得策です。

リフォーム工事費用について

建物の「リフォーム費用」にも同じことが言えます。
リフォームも建築と同じく工事請負業者に注文しますが、請負業者は事業者なので、リフォーム費用も消費税増税によって上がるからです。

現在手持ちの物件が老朽化していたり、より良い設備を付けて周囲と差別化したいと考えていたりするならば、早めに建築業者にリフォーム工事を発注した方が良いでしょう。

複数の契約を締結するケースの注意点

不動産の建築を注文する場合、複数の契約を組み合わせるケースがあります。たとえば建築請負契約とは別に地盤調査や調整の契約を締結する場合などです。

このようなケースでは、経過措置を「契約ごと」に適用します。
すなわち地盤調査の契約が2019年3月であっても請負契約そのものが4月以降になれば、建築請負代金には増税後の消費税10%が適用されてしまいます。

そこで契約が複数に分かれる場合には、すべての契約を2019年3月31日に間に合わせることが重要です。

駆け込み需要による影響

建築費用や修繕費用については、消費税増税による駆け込み需要による影響も予想されます。
多くの投資家や不動産業者が消費税増税をにらみ、2019年3月31日に向けて受注が増える可能性があるためです。そうなると、増税を待たずに建築や修繕工事の本体価格が値上げされる可能性もあるので、注意しておきましょう。

不動産の家賃に対する影響

次に、不動産の家賃に対する影響も考えておくべきです。

もしも消費税増税によって家賃が増額されるのであれば、消費税の増税分家賃が上がることとなります。

ただ、家賃には消費税は課税されません。家賃は国民の生活の基盤となるものなので、消費税を課すことが相当で無いと考えられているからです。

そこで不動産投資や賃貸経営で家賃の金額を設定するとき、消費税による増税分を当然に上乗せすることはありません。

  • ・賃貸するための建物建築 → 課税
  • ・住宅家賃(賃借人) → 非課税

消費税がかかる諸々の費用とは

不動産投資・賃貸経営で消費税がかかるのは、物件自体の建築費用や購入費用だけではありません。

むしろ日々の経費や諸費用の方が大きな影響を受けます。

以下で不動産投資に関連して消費税が課税される主な費用を挙げます。

  • ・設備として取り付ける照明器具や家具家電
  • ・門扉やフェンス、シャッターの費用
  • ・駐車場代
  • ・退去に伴う修繕の費用
  • ・ローン手数料
  • ・不動産会社の仲介手数料
  • ・司法書士の登記手数料(印紙の実費分は不課税)
  • ・掃除やメンテナンス管理の費用
  • ・不動産管理会社の費用
  • ・税理士に支払う報酬

このように、日々発生する経費や専門家への報酬、仲介手数料などの部分が消費税増税により大きく膨らんでしまいます。

不動産投資の主な収入である家賃には消費税が課税されないので、消費税増税による増収はありません。それにもかかわらず経費が大きく膨らんでしまうので、投資家は多大な影響を受けるといえるでしょう。

まとめ ~不動産投資で考えておくべきこと~

以上からして、不動産投資家は以下のようなことを考え、対処しておくべきです。

・物件の修繕は2019年3月31日までに行っておく
・新築物件の購入や建物建設の契約は2019年3月31日までに終了しておく
・2019年10月以降は経費が上がることを想定して家賃を設定しておく

今後の消費税増税をうまく乗り切るため、参考にしてみてください。

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