Column相続対策における遺言書の活用方法について

相続対策における遺言書の活用方法について

2019.01.15

相続対策における遺言書の活用方法について

  • ・遺言書を作るとどんなメリットがある?
  • ・遺言書でどのようなことを実現できるのだろう…?
  • ・遺言書を作成するときには、どんなことに注意すればいい?

将来の相続トラブルに備えるには「遺言書」が有効です。
ただ、遺言書でどのようなことができるのか、実際には知られていないことも多いです。今回は、相続対策において遺言書をどのように活用できるのか、ご紹介します。

遺産を希望する人に残せる

遺言書がない場合、遺産は「法定相続人」によって相続されます。その場合のそれぞれの相続人の取得分は、法律の定める遺産相続の割合である「法定相続割合」となります。本人が受け渡したい人に遺産を渡すこともできません。
たとえば「長男に自宅の土地建物を引き継いでほしい」と思っても、実際にそうなるかどうかはわからないのです。

遺言書を書くと、特定の遺産を相続させる人を指定できますし、相続人の相続割合も指定できます。たとえば長男に自宅の不動産を残し、他の相続人には預貯金を残すなどの遺言もできますし、同居して献身的に介護してくれた長女に多めの遺産を残すことも可能です。

相続人ではない人に遺産を残せる

遺言書がない場合、法定相続人以外の人は遺産をもらうことができません。
たとえば内縁の妻や長男の嫁、献身的に介護してくれた人、孫などには相続権がないので、そのまま死亡してしまったら遺産を渡すことは不可能です。
内縁の配偶者が家を相続できずに困ってしまうパターンも多いです。

遺言書があれば、相続人ではない人にも遺産を残すことができます。
内縁の妻に自宅の土地建物や預貯金を残すこともできますし、長男の嫁や介護してくれた人に、お礼の気持ちでお金を残すことなどもできます。

遺産相続トラブルを避けられる

遺言書がない場合、残された遺産については、法定相続人が「遺産分割協議」を行って自分たちで分け合う必要があります。
遺産分割協議とは、法定相続人全員が参加して遺産の分配方法を決める話合いですが、一般に、遺産分割協議で相続人同士の意見が合わず、トラブルになる事例がとても多いです。

遺言書を作成すれば、誰にどの遺産を相続させるかを指定できます。
すべての遺産の処分方法を決めておけば、相続人たちが遺産分割協議をする必要がなくなるので、無駄な相続トラブルを避けることができます。

天涯孤独な人の財産処分方法を決められる

配偶者も親も子どもも兄弟姉妹もなく、天涯孤独な方の場合にも遺言書が役に立ちます。天涯孤独な方が亡くなると、誰も遺産相続する人がいません。
すると、財産は最終的に国のものになってしまいます。
そのようなことであれば、お世話になった人に渡したり、どこかの慈善団体などに寄付したりしたいと考える方もおられるでしょう。

遺言によって遺贈や寄付ができるので、遺言書を作成しておいたら、天涯孤独な方でも希望を叶えられます。

子どもの認知ができる

妻ではない女性(未婚)との間に子どもがいる方の場合、生前に認知をするとトラブルになる可能性があります。
子どもや女性との関係のことを今の家族に知られていない場合、認知をすると戸籍謄本に記載されてしまうので、妻などに見つかって問い詰められるおそれがあるからです。最悪の場合、今の妻との離婚問題に発展してしまうおそれもあります。
そこで、認知をせずに過ごしているケースがみられます。

ただ、そうであっても死亡後は子どもを認知して、遺産を分けてあげたいと考えることもあるはずです。
また子どもの方から死後に認知請求できるので、認知しなかったとしても子どもの方から訴えられて、今の家族とトラブルになってしまう可能性もあります。

そのようなときには、遺言書によって子どもの認知をすると良いです。遺言によって子どもの認知をすることも可能だからです。 そのためには、遺言書で「遺言執行者」を定めておけば、相続開始後に遺言執行者がきちんと手続きをして、子どもを認知してくれます。

相続人の資格を奪える

もともと法定相続人であっても、非行がひどくて遺産を相続させたくないケースがあります。たとえば本人を虐待しているようなケースです。
その場合には、家庭裁判所で「相続人の廃除」を申し立てることによって相続権を奪うことができます。

ただ生前に相続人の廃除をすると、廃除された相続人とトラブルになる可能性が高まります。さらに虐待されるかも知れません。
そのようなときには、遺言書で「相続人の廃除」を定めておくことにより、死亡後速やかに問題のある相続人の相続権を奪うことができます。

またいったん相続人を廃除した場合でも、遺言書によって取り消すことも可能です。遺言書で相続人の権利を奪ったり戻したりできるということです。

遺言執行者を定めておこう

遺言書を作成するときには「遺言執行者」を定めておくと便利なケースがあります。
遺言執行者とは、不動産の登記など遺言書の内容に従って手続きをする人です。

まず遺言書によって子どもの認知をするときや相続人の廃除(相続人の資格を奪うこと)、廃除の取消を行うときには遺言執行者が必須です。
これらの手続きをしない場合にも、遺言執行者が選任されていると、不動産の登記や預貯金の払い戻しなどの面倒な相続手続きを遺言執行者が全部してくれるので、相続人たちの手間が省けます。

遺言者自身が遺言書によって遺言執行者を選任できるので、信頼できる人の名前と住所を書き込んでおきましょう。
親族も遺言執行者になれますが、特定の相続人を遺言執行者に選任すると他の相続人とトラブルなる可能性もあるので、司法書士や弁護士などの専門家を選任するのも1つの方法です。

遺留分に配慮しよう

遺言書を作成するときには「遺留分」にも注意が必要です。遺留分とは、法定相続人に認められている最低限の遺産取得割合です。
遺留分を侵害すると、遺留分を侵害された相続人が侵害した人に対し「遺留分減殺請求」を行ってトラブルにつながります。

遺留分の割合は、親のみが相続人のケースとそれ以外のケースで異なります。
親のみが相続するなら全体の3分の1、それ以外のケース(配偶者や子ども、配偶者と親が相続人になる場合など)には全体の2分の1となり、これを各自の法定相続分で割り算します。
たとえば配偶者と子どもが相続する場合、それぞれの遺留分は2分の1×2分の1=4分の1ずつです。

遺言を書くときには、各相続人の遺留分がどのくらいになるのかを知り、できる限り遺留分侵害にならないように注意しましょう。

遺言書を活用して相続対策を!

子供達が相続トラブルを起こすと、2年3年、ときにはもっと長い期間、熾烈な争いが続いてしまい、子供達がほとほと疲弊してしまいます。
また内縁の妻などに遺産を残したいこともあるでしょう。トラブルを避けてあなたの遺志を実現するには、遺言書を作成すべきです。
遺言書を活用して、来る相続に向けて効果的な対策を行いましょう。

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