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資産運用コラム

COLUMN

不動産価格評価方法の4種類について

不動産には4種類もの評価方法があります。
売買などの取引をするとき、相続税や贈与税を計算するとき、固定資産税を計算するとき、それぞれ異なる評価方法を使う必要があるので、混乱されてしまう方もたくさんおられます。
今回は、不動産価格評価方法の4種類がどのようなもので、それぞれの場面でどうやって算定するのかをご説明します。

2019.01.30

4つの不動産価格評価方法とは

不動産(土地、建物)の価格評価方法には、以下の4種類があります。

  • 相続税路線価
  • 固定資産税路線価
  • 公示地価
  • 市場価格

このように1つの物を4つの基準で評価し、それぞれ評価額が異なるので「一物四価」と言われることもあります。
以下で、それぞれの価格がどういったものか、ご説明します。

相続税路線価

相続税路線価とは

相続税路線価は、市街地にある道路に面した宅地の1平方メートル当たりの単価です。
土地の価格を計算するときには、路線価に土地の面積をかけ算して算出します。
路線価は国税庁が年に1回改定するので、同じ場所でも年度によって異なる可能性があります。
相続税路線価が利用される場面は、相続税や贈与税などの国税を計算するときです。金額的にはだいたい市場価格の8割程度となります。

相続税路線価を調べたいときには、こちらの「路線価図・評価倍率表」を使って確認できます。
路線価図・評価倍率表

またこちらの全国地価マップでも、全国の相続税路線価を知ることができます。
全国地価マップ

評価倍率について

相続税路線価は主に市街地に面した土地に設定されているもので、地方や山奥の土地などには設定がないケースがあります。
その場合には「評価倍率」という方法で相続税評価をします。
評価倍率とは、次に紹介する固定資産税額に一定の係数をかけ算して、土地の評価額を算定する方法です。
上記と同じ「路線価図・評価倍率表」で、土地に路線価の設定がなければ評価倍率表に評価倍率の基準の数値があるので、そちらをあてはめると相続税の評価ができます。
路線価図・評価倍率表

相続税路線価を使うべきケース

相続税路線価を使って土地価格の計算をするのは、以下のようなときです。

  • 土地の相続税や贈与税を申告するとき
  • 将来、土地の相続税や贈与税がどの程度かかるか知りたいとき

固定資産税評価

固定資産評価とは

固定資産税評価は、不動産に対する固定資産税の金額を計算するための評価方法です。
土地の場合には1平方メートル当たりの単価が設定されています。土地だけではなく建物にも固定資産評価額の設定があり、建物の相続税を計算するときには固定資産税評価額を使います。不動産の現状に応じて市区町村が3年に1回改定しています。
金額的には市場価格より低く、だいたい7割程度となります。

固定資産税評価額を知りたいとき、それが自分の土地建物であれば市区町村から「固定資産税の納付書」や「明細書」が市区町村から年に1回届くので、そちらを見ればわかります。また市区町村役場に行って固定資産税課税証明書を取得すれば、そこにも評価額が書いてあります。

他人の土地の固定資産税評価額を知りたい場合には、上記でご紹介した「全国地価マップ」を利用すると、だいたいの金額を調べることが可能です。
全国地価マップ

固定資産税評価を利用すべき場面

固定資産税評価額を使って不動産の評価をするのは、以下のようなケースです。

  • 自分の不動産の固定資産税の計算をするとき
  • 土地や建物の購入をしようと思っていて、対象の不動産にかかる固定資産税の金額を知りたいとき
  • 建物の相続税や贈与税を計算するとき

公示地価

公示地価とは

公示地価とは、全国の標準的な土地に設定された1平方メートル当たりの単価です。
全国のすべての土地に設定されているわけではなく、国が選定したポイントとなる土地に価格がつけられています。国土交通省が年に1回(3月)、公表します。
実際の取引価格(市場価格)に近い数字となっているので、土地の売買の際などにも参考にできるでしょう。

公示地価を調べたいときにも、上記でご紹介した全国地価マップから確認できます。
全国地価マップ

ただし、全国のどの土地にも設定されているわけではなく、「標準地」「基準値」として選ばれたポイントにしかありません。調べたいときには、対象地となるべく近い地点の公示地価を確認する必要があります。

公示地価を利用すべき場面
  • 周辺土地のおおむねの取引価格を知りたい
  • 学術研究のため、なるべく公正で正確な価格を知りたい

市場価格(実勢価格)

市場価格とは

4つ目の価格が「市場価格(実勢価格)」です。
これは、実際に不動産(土地建物)が売買されるときに使われる価格です。不動産の売り出し広告などに書かれているのも、この市場価格を基準にした金額です。
自分の土地を売ったり買ったりするときに適用されるので、4つの価格の中で、一般の方にとってはもっとも身近な価格と言えるでしょう。

市場価格の調べ方

市場価格を調べたいときの方法にはいくつかあります。

ネットのサイトの取引事例を調べる
土地総合情報システムというサイトでは、土地の取引事例を調べられます。
土地総合情報システム

また、建物についてはレインズのサイトで類似の事例を調べることができます。
不動産取引情報提供サイト

対象の土地建物に使い事例を探せば、だいたいの相場を把握できます。

近隣の成約事例や売り出し事例をチェックする
近隣の類似物件の売り出し価格や、成約価格を注意深く見ていると、自分の物件がだいたいいくらで売れそうかわかってくるものです。
ただし売り出し価格は成約価格より高めに設定されているのが通常なので、その分は差し引いて計算しましょう。

不動産会社に査定依頼する
不動産の市場価格を把握したいなら、不動産会社に簡易査定を依頼するのがもっとも簡単で確実です。不動産会社は普段から不動産をやり取りしていて、実勢価格に詳しいからです。
不動産会社に依頼すると、対象地の査定をして簡易査定書を提出してくれます。
依頼する不動産会社によって査定金額が異なることも多いので、複数社に査定依頼をして平均的な数値を採用するのが良いでしょう。

市場価格を利用すべき場面
  • 土地や建物を売却したい
  • 土地や建物を購入したい
  • 現状、オーバーローンかアンダーローンかを知りたい
  • 不動産の遺産分割をしたい
  • 離婚の財産分与の計算をしたい

市場価格はさまざまな場面で必要になるので、ネット情報や不動産会社の査定などを参考にして上手に調べましょう。

まとめ

・不動産の評価額には、相続税路線価、個性資産税評価、公示地価、市場価格の4種類がある
・不動産の評価方法は、それぞれ利用目的が異なる
・不動産の売買を行うときなど実際の取引においては市場価格を利用する

不動産の「評価」をするときの参考にしてみてください。

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